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 何の楽器にしようか迷っている方へ、楽器別よもやま話
 
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何か始めてみたい。音楽が好きだ。何を始めようか。何が出来るかな?

これから何かを始めてみたい方の為に、少しは参考になる事を楽器別に書きます。
最初に、アルルに入会してくる方達について簡単に解説します。小さなお子さんも大勢
入会されますが、HPを読んでいるのは大人ですので大人の事を書きます。

(どんな人達がアルルに入会するのか)

A(楽器経験は小学校のリコーダーのみ。歌は歌わないし、カラオケも行かない。
  しかし、音楽を聴くのは好き)
B(楽器経験はリコーダーのみだが、歌う事は好きで、カラオケもたまに行く)
C(大学で音楽のサークルで活動していた)
D(小、中、高のいずれかで、ブラスバンド又は管弦楽、コーラス部等で活動していた)
E(幼児の頃から中学生前後までピアノ、又はバイオリンのレッスンを受けていた)

上記の分類の中で意外と多いのはAの方達です。そして、意外と少ないのはEの方達です。
年代別では、以前は20代の方が一番多かったのですが、今一番多いのは30代の方で、
年々増えているのが40代、50代です。最近は60代、70代の方も珍しくなくなりました。
中学生、高校生の入会も最近は増えています。

(楽器別演奏上の違い参考例) 
何でもない当然の話ですが、その楽器特有の苦労があり、その問題の深さは他の楽器の人は全く
認知していません。簡単に主な違いを並べて見ました。

<音を発する> ピアノ     簡単、必ず出る
           バイオリン   出るには出るが、聴く人が耐えられる音を出せるようになるのに
                   数年はかかる。一生(美しい音が)出せない人も多い。
           トランペット  音は練習すれば出るが、1オクターブ出すのに半年、2オクターブ使い
                   こなすのに2から5年かかる。更に上のプロが使う高音域は普通の
                   アマチュアは一生出せない。
<大きな難関> ピアノ     一度に10個の音を出す。
                   右手と左手が別な生き物の様に全く違う事をする。
                   手だけでなく足でペダルも操作しなければいけない。  
                   音符の数が圧倒的に多い。  
                   音域が広いと左右の手を同時に見られない。
           バイオリン   音程を作る手がかりが全く無い。 例えば絶対音感があるピアノの
                   先生がバイオリンを弾いても どうにもならない。
           トランペット  音の移動(跳躍)が大変難しく、近い音域は何とかなるが離れた音域に
                   飛んで音を発するのが高度な技術となる。

(鍵盤楽器)     管楽器編はここをクリック

ピアノについて

  正確な名称はフォルテピアノです。ピアノの前身の楽器が音の強弱がつけられない構造でした。
 その欠点を補うハンマーアクションの発明によりよりダイナミックな表現が可能となり、音楽の世界で
 中心的な役割を担うことになりました。当たり前の話ですがピアノは誰でも直ぐに音が出せますし、
 調律してあるピアノであれば音程は楽器任せで確定します。一度に10個もの音が出せて、その音域は
 オーケストラに匹敵するほど幅が広く、旋律、和音、低音と同時に一人で出せますので、一人で音楽が
 完成できる独奏楽器です。又、その演奏の安定(音程)と表現(和音、低音)により他の楽器、歌の
 伴奏楽器として必要不可欠な存在です。

  音が出せて音程が確定している構造から、初心者から直ぐに音楽を楽しむ事が出来ます。
 右手と左手で別々に弾く苦労はありますが、出来ると一人で二重奏をしているような喜びがあります。
 名曲を初心者用に音符の数を大幅に減らした曲集が無数に出ていますので、初心者は初心者なりの
 楽しみ方が出来ます。

  座って演奏する事と、指で音を出す事が出来るので体力の消耗が少なく、長時間の練習が可能です。
 又、どんな高齢の方でも楽しむ事が出来ます。10本の指を使う事から脳の刺激になるとされていて、
 実際に、ピアノの上手な子は優等生が多いです。

  サイレント機能付きのピアノであれば音の問題も解決します。又、電気楽器も無数に出ています。
 ボリュームの調節が出来ますし、ヘッドフォンでも練習出来ます。電気楽器の場合、鍵盤がピアノの
 鍵盤の手応えに似せてあるものと、そうで無い物とあります。ピアノの代用として購入するのであれば
 迷わず、高くてもピアノタッチを選んで下さい。又、音楽教室でレッスンを受けるのであれば88鍵を
 勧めます。演奏の際に目に映る映像を無意識に記憶していますので、鍵盤数の少ない楽器で練習
 していて、発表会等で鍵盤の数が違うと分からなくなってしまう事があります。発表会で1オクターブ
 間違えて弾いたという笑い話は現実によくある話です。

  ピアノには、アップライト(縦型)ピアノと、グランド(コンサート使用されている平型)ピアノとあります。
 一度グランドピアノで練習してしまうとアップライトは触る気がしなくなるほど表現力に差があります。
 しかし、グランドピアノを持てる住宅環境の方はそう多くありません。(アルルではグランドピアノでの
 練習が可能です)

  タッチ(奏法)による音色は十人十色です。「ピアノは猫が鍵盤の上を歩いても同じ音がする」と
 言った人はその人の耳が悪かったか、余程感性に欠けていたかのどちらかです。発表会で同じ
 ピアノが、人が変ると違う音色を奏でます。特にクラス(担当の先生)事の音色の変化は歴然です。
 このクラスによる生徒の音色の変化は全ての楽器であります。先生を選びたい人は3月の独奏の
 発表会を全部聴くと良いです。しかし、先生よりも美しい音色を出した生徒は20年間いまだかつて
 一人もいません。

  生の(電気ではない)ピアノをお持ちの方は必ず調律を頻繁に行って下さい。アルルの本館は
 毎週行っています。費用は相当なものですが世の為生徒の為。一般的にどの位の間隔で行えば
 良いかというと、変だなと思ったら調律を頼むのが正しい。季節、暖房、エアコン等でもすぐ狂います。
 そんなにお金をかけられない方は半年か、一年に一回は必ず行って下さい。今はチューナーが
 ありますので自分でも確認できます。その時A(ラの高さ)が440,441、442,443サイクルのどれか、
 又、自分がどれにしたいのかの判断が必要となります。この話が理解できない方も多いと思いますが、
 分からない方は調律の方に相談して下さい。ハンマーアクションの状態を調整する整音を頼む事も
 大切ですが、費用は別途かかります。

  始めたその日から音楽の感動を実感出来て、そして、もしかしたら一生かかっても弾けないかも
 知れない大作曲家の名曲が沢山あるピアノ。又、ピアノを学ぶ事は、作曲も含めて全ての楽器を
 学ぶ際に役に立つ音楽の基礎を身につける事になります。

  さあ、始めてみましょう。昔のピアノ先生と違い、今のピアノ先生は怖くない。
 これはアルルの宣伝ではありません。日本全国のピアノ教室の宣伝です。
 前から気になっていた音楽教室、ピアノの先生のお宅を訪ねてみましょう。
 きっと優しく迎えてくれるでしょう。(アルルの受付は少々無愛想。理由は忙しい為)

  音楽のある生活、レッスンの目標のある生活は、心も体もウキウキしてきますよ。
 年齢、経験は関係ありません。趣味ですから。

チェンバロについて

 最初に強調しておきたい事は、チェンバロとピアノは全く違う楽器であるという事です。
ピアノとは発音の仕組みが違い、ピアノが出現するまえからヨーロッパで栄えていた鍵盤楽器です。
チェンバロは現代でも盛んに演奏会も行われていますし、趣味で演奏している人も大勢います。
古楽器という分類の仕方もありますが、チェンバロは現代においても脈々と息づいている大変魅力
溢れる楽器です。

 ピアノは弦を叩いて音を出しますので打楽器的要素を含み、フォルテピアノという正式名称の通り
大変迫力のある音が出せます。それに対してチェンバロは細い弦を爪弾いて音を出しますので
その音は大変小さくギターとたいして変らない位です。そして、鍵盤を押す事により内蔵された
爪によりはじかれて出てくるその音色は軽やかで、まるでガラスのような美しさで弾く人のみならず
聴く人の心をも魅了してくれます。

 鍵盤の幅はピアノよりも少し小さく、また調律はピアノより半音低く設定されています。
二段鍵盤のチェンバロでは三種類の弦の組み合わせを変えて、音量や音の響きを変える事が出来ますし、
数種のリュートストップを使い分けると色々な音色を楽しむ事が出来ます。

 チェンバロを始める方はピアノ経験者が多いのですが、チェンバロの鍵盤を押すと、独特の
「爪のひっかかり」の感触が感じられます。ここがピアノとの決定的な違いといえるでしょう。
この「爪のひっかかり」は最初はとても違和感があるのですが、だんだん慣れてくると、この
”爪をはじくタイミング”をコントロールできるようになり、ハープみたいな柔らかい音色(分散和音など)、
あるいは打楽器やギターにあるような鋭い音色も出せるようになります。

通奏低音 − アドリブのルーツ?
 バロック時代は旋律を演奏する楽器、歌の伴奏譜は低音と今で言うコードネームに相当する数字が
書き込まれているだけでした。実際の演奏は演奏家の即興演奏に委ねられていました。装飾音の
味付けも演奏者が自由に行い、演奏者の個性、才能が如何なく発揮されていました。
クラシック・・楽譜通りの音楽という概念がチェンバロには当てはまらないのです。
それもチェンバロの大きな魅力の一つです。
しかし、初心者が即興演奏するのは無理ですので初心者の場合は楽譜を見て演奏します。
ゆくゆくは和声を学びアドリブにも挑戦する事になりますので、チェンバロを学ぶ事は大変奥が深く
飽きる事がありません。あなたもチェンバロにチャレンジしてみては如何ですか。

 力で弾く楽器では無いので、チェンバロを弾く時は体をとことん脱力させて体をリラックスさせ、
また日常の事も仕事の事も忘れ、無心になって弾きましょう。いつしか心は中世に飛んでいます。
又、リコーダーやトラベルソ、バロック時代の歌曲など色々なアンサンブルも楽しめます。

 チェンバロの悩みは高価である事ですが、小型のスピネットであれば100万円もしません。
殆どの電子ピアノにチェンバロの音色は入っていますが、チェンバロの魅力は弦を爪弾く時の手応えに
あります。その感触は電気楽器では得られません。(アルルでは生徒さんは本物で練習出来ます)
又、チェンバロという呼び方はイタリア、ドイツで使われている名称です。クラヴサンはフランス。
ハープシコードはイギリスと国により呼び方が違いますが全部同じ楽器のことを指しています。

(その他の鍵盤楽器)
 空気を使って音を出す、鍵盤で演奏する管楽器とも言えるオルガンやアコーデオン。小学校で使う
ピアニカ。エレクトーンの商品名で有名な電子オルガンと鍵盤楽器は沢山ありますが、残念ながら
アルルのレッスン科目にないので省略します。